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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁
機関説運動は東京の在郷軍人の手にかかると、どうもそれ以外の要素と混淆され稀釈されて了うようである。
処が在郷軍人が、「軍人の立場」からこうして国体明徴や機関説排撃の運動に奔命している間に、現職の軍人そのものの間では、もっと国体明徴問題に引っかかるような未曾有の大問題が起きてきていたのである。軍務局長永田中将が有名な命を落した事件である。実は軍部としてはこれ以上重大な危機を孕んだ問題はないのであって、国防観念のアジテーションや選挙問題どころではないのである。特に、林陸相の粛軍活動そのものの一反作用が、この露骨な軍規破壊となって現われたのだから、意義は特別甚大なのである。
八月十三日、愛国政治同盟なる団体は早速声明書を発表した。曰く、「この事件が自由主義者を喜ばしめ、既成政党の台頭を促す等々の不快なる諸影響は、抑々末稍なり、皇軍の皇軍たる所以は軍人勅諭の大精神を身を以て尊奉する処にあり、……上に対しては皇軍の忠誠、下に対しては皇軍の威信、正に是処に潰えんとす。その影響の重大なる、機関説の如きに比すべくもなし、軍部諸将以て如何とするか」云々。
主旨は軍主脳部に対する不信にあるのであるが、注目すべき点は、この問題の重大さが「機関説の如きに比すべくもない」