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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁

青空文庫

某新聞の報道によると、農民団体の新傾向として、飯米差押え一カ年禁止の運動に軍部の助力を要望しているという。国防予算は削減せずにその代りに飯米差押え禁止の法律を出してくれさえしたらいい、という主張だそうである。これなどは日本国民精神に基く農民運動の模範とするに足りるだろう。

こうした国民精神の具体化(?)と宣伝の成功にも拘らず、日本の言論は往々にして憲法で約束されてある通り、自由であることがある。というのは、言論家(政治家、学者、ジャーナリスト、興業品製作者および興業者、等々)はこの教化の恩沢の洩れ目から、時々勝手なことを書いたり喋ったり、やったりするのである。

たとえば元商相中島久万吉氏は、或る大衆雑誌で足利尊氏の人物に傾倒している旨を述べたところ、それが素で遂に商工大臣の椅子を棒に振って了わなければならなかった。尤も後になって某事件で起訴されるに至ったところを見ると、氏の尊氏論が日本国民精神教育の方針に矛盾するところが、それほど重大であったかどうかは疑問だが。これは寧ろお愛嬌の方だが。

もっと気の毒なのは、自ら折角国家社会主義者をもって任じている(尤もその概念規定などは何でもいいので要するに国家という字が大切なのだが)早大の林癸未夫教授が、私有財産制の否定者であるとして某代議士から議会の問題にされた