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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁
一九 統制主義の名目と実質
全体主義の哲学は各国で流行のように見える。生物学関係の思想家がこれを支持しているのは方々で目立つ現象であるが、社会科学ではドイツのO・シュパンの『全体の範疇』などがまず代表的なものだろう。
わが国でも日本主義や皇道主義の多少とも理論的な根拠は大概ここに帰着する。理論的な哲学の内で無理にこれに相当するものを求めれば、東北帝大の高橋里美教授の『全体の立場』というものもある。もっともこれは日本的ファシズムと直接には関係していないのであるが。
だが全体主義の全体主義たるゆえんは、単にそれが部分主義とでもいうべきものの、反対の立場だということではない。もしそうならば誰が一体全体主義者にならないものがあるだろうか。全体主義が今日意味を持っているのは社会における各種の(個人同志のまた階級層間の)対立をそのまま払拭することが、都合の好いことで、従ってまた善いことだという通念が、そういう常識が、一般に行なわれているという事実に基いてである。
今日わが国では各種の統制主義が世間的に評判がいいようだ。統制主義に反対するものは一種の利己的な反動家だとさえ考えられているようだ。