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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁

青空文庫

ところが不穏文書は主として軍部に関係があったはずだが、して見ると不穏文書の方はどうでもよいわけで、矢張り大切なのは国民の流言浮説の方だということになる。「不穏文書等取締法」は「流言浮説取締法」と呼び直されねばならぬ。――いずれにしても、これで見ると、例の不祥事件は何か国民の流言浮説からでも起きたかのようである。

国民が人心を惑乱したり、軍秩を紊乱したり、財界を攪乱したりするために、治安を乱したから、ああなったということにでもなりそうだ。これでは大抵の国民は我慢が出来なくなるのは尤もだろう。

尤も国民というものはお喋りが好きで、愛国心が乏しくて、自由主義的で現状維持的で、仕方のない代物だから、この憐れむべき存在にお行儀をつけてやろうというなら、まだ国民に対して多少の好意がないともいえないだろう。処が必ずしもそうではないのである。

国民はウカウカしているとスパイと見なされてしまうのである。

「総動員秘密保護法」によると、行政官庁は必要に応じてどこへでも侵入し何でも検査し何でも質問出来る。そうかと思うと、通信の施設などは総動員機密として指定され得るという。