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しろばなのあさがお

白花の朝顔

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《白花の朝顔(しろばなのあさがお)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,880 字 · 62 頁

青空文庫

」……ただ、その雑誌一冊ものなぞ、どれも皆――ろくなものではありませんが、私のかいたのが入っていたのを、後姿と一所に、半ば起きに、密と見た時、なぜか、冷酒が氷になって、目から、しかも、熱いものがほろほろと湧きました。

時に、その人がいま出て来ません。その癖、訪れた玄関では、女中よりさきに、出迎えて、二階へ通してくれたのに、――茶を運んだのも女中です。

庭で蟋蟀の鳴くのが聞える。

蔦の葉の浴衣に、薄藍と鶯茶の、たて縞お召の袷羽織が、しっとりと身たけに添って、紐はつつましく結んでいながら、撫肩を弱く辷った藤色の裏に、上品な気が見えて、緋色無地の背負上が媚かしい。おお、紫手絡の円髷だ。透通るような、その薄化粧。

金銀では買えないな。二十三か、ああ、おいらは五になる。作者夥間の、しかも兄哥が、このしみったれじゃあ、あの亭主にさぞ肩身が狭かろう、と三和土へ入ると、根岸の日蔭は、はや薄寒く、見通しの庭に薄が靡いて、秋の雲の白いのが、ちらちらと、青く澄んだ空と一所に、お洲美さんの頸に映った。

目の前にあるその姿が、二階へは来ないのです。御厚意は何とも。しかし内弟子に住込ませるとまでおっしゃって下さいますと、一度(何といおう……――女史。