輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やのしのとい

矢押の樋

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《矢押の樋(やのしのとい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,468 字 · 29 頁

青空文庫

……ところが、こういう情勢のなかで梶之助だけは別だった、お救い小屋へも助に出ないし、水脈捜しにも出ない、そのうえ暇さえあると城外北見村の豪農、吉井幸兵衛の家へ碁を打ちに通っていた。噂には取止めもないが、幸兵衛には加世という美しい娘があり、梶之助はその娘に執心で通っているのだとも云う、そういう穿った陰口は別としても、彼に対する家中の悪評は今はじまった事ではなかった。

――仕様のない男だ。

重太夫は幾度も舌打をしながら呟いた。

――監物どのの留守に間違いがあってはならぬ、なんとかしなくては。

然し事務は寸暇もなく忙しかった、お救い米が既に不足しかかっているので、一日も早く補充して呉れと急きたてて来る、買付け米が到着すればいいのだ、それまで藩倉の分を出して置く法はある、けれど重太夫の心の奥には、若し江戸での借款が不成功に終ったらという一抹の不安があった。……向田藩の貯蔵米は幕府直轄のもので、特に許可のない限り、手を付けることは法度である、今までは自分の腹一つを賭して開放したが、是以上は主家の安危に関する事だ、……だから重太夫はいま、老職一同の意見を拒けて固く藩倉の鍵を握っていた。