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かがくえいがのいちこうさつ

科学映画の一考察

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《科学映画の一考察(かがくえいがのいちこうさつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,522 字 · 3 頁

青空文庫

それでどうせ分らないものならば、思い切って「分らす」ということを初めから断念してしまうのが、この種の映画の一つの進む道ではないかと思われる。例えば線画による現象自身の説明などに余り労力を使わずに、実際の実験室の光景を写して、何だか分らないが怖そうな器械だとか、何だかむつかしそうな実験だとかいうものを見せるようなやり方も一つの方法であろう。別の言葉で言えば、現象自身の説明よりも、その現象をつつむ雰囲気を説明するのである。

ところでそういう種類の科学映画は、結局科学のディレッタントを作るだけで、科学普及の国策にはそわないという意見も出るかもしれない。しかしこの場合、「分る」ということが既に問題なのである。中学の物理や化学の授業では、分るということは、試験の答案が書けるという意味である。勿論暗記しているという意味ではなく「分っている」という意味で答案が書けることを指してのことである。そういう風に「分る」ことが果して科学振興になるのならば、今日事新しく科学精神などを説く必要もないであろう。

科学映画には単に講義や読書の代用品または簡易法としてよりも、もっと広くそして重要な道があるように私には思われる。