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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 頁
――どこにも人の住んでいない島に人の話し声がするはずはなかった。
しかし、たしかに、さっき英夫たちがスコールを避けた岩のあたりから、ぼそぼそと低い人の話し声が聞え、だんだんこちらに近づいて来るらしかった。
いいようもない不気味な戦慄が身内をはしった。
「祥ちゃん――」
英夫は、まだぐっすりと寝息をたてている祥子をゆりおこした。
「なあに……」
祥子は目をこすった。
「ほら……聞えるだろう……人の話し声が」
話し声ばかりではなしに、黒い人かげが、ゆっくりとした足どりで近づいて来るのが夜目にもわかった。
「なんでしょう、野蛮人でしょうか、それとも幽霊かしら?」
「しっ!」
黒い人かげは、一人、二人、三人、四人まで数えられた。なだらかに傾斜した砂浜を、身ぶり手真似をまじえて、何かしきりに話しあいながら、だんだん英夫たちのいる方へやって来る。
もう百メートルとは距っていなかった。
前の一人は、サロンを腰に巻いただけの土着人らしく、その後から来る三人は、白い上衣に半ズボンをはいているらしかった。土着人らしいのをのぞけば、みな背が高かった。
「英語で話しているらしいね」