輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 頁
兄のたより
兄のたより
明け方から降りだした雪が、お正午近くになっても、まだ、止まなかった。
灰色の空から、綿をちぎったような雪が、ヒラヒラと舞い落ちては、音もなく積って行く――。今朝、家を出る時には、それほど積っていなかったが、もう、十二、三センチは、たしかにあるらしい。
英夫は、「雪の進軍」の口笛を吹きながら歩いていた。
雪の進軍氷をふんで
どこが河やら道さえ知れず
馬は斃れる捨ててもおけず
…………
近ごろ、ラジオでもよくやる、溌剌とした行進曲が、降る雪の伴奏のように思われて、こうした雪の道を歩くのに、ふさわしかった。
歌って、へんなものだなあ――と、英夫は思った。知らず知らずの間に、この軍歌の口笛を吹いていたのだ。
今日は日曜日で、講道館に少年組の紅白試合があった。
英夫は、水道橋の講道館から、若松町の家まで、歩いてかえることにした。
紅軍が副将の英夫のところで、五人抜いたので、大将を一人残して勝った。英夫の足がはずんでいるのは、そのせいかも知れなかった。凱旋将軍の得意さ、つまり、意気揚々としてかえる……とでもいうのだろう。帽子や外套の肩に、しっとりと湿った雪が降り積っても、別に苦にはならなかった。