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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 頁

青空文庫

海底要塞

たまに当っても、こつんこつんと鈍い雨だれのような音をたてているだけだった。そのうちに、自分たちがよく知っている鋼鉄のボートへ射撃をしてもむだだと思ってあきらめてしまったらしく、銃声がはたとやんだ。

海底要塞

何という不思議なボートであろう。英夫がためしに、横に矢印のついたボタンを押すとボートはするすると海水を潜って行くのだ。

両端の尖った、鯨のような形から、潜航艇であることに気がつかなかった英夫たちも迂闊だったが、こうした精巧な超小型の潜航艇があろうとは、誰しも知らなかったに違いない。不思議なのは、その形や、構造ばかりではなく、動力だった。

モーターや、機関の廻転が、全然聞えずに、ただ、象牙の小さなボタンを押しただけで矢のような速さで、海底を進んで行くのだ。

速力はしだいに増して行くようだった。

「何だか気味が悪いわ、いいかげんに水の上に出ましょうよ」

祥子が心配しだした。

この船で星をたよりに航海すれば、いつかは日本の軍艦か汽船に遇えるに違いない。孤島の中で、あてのない救いの手を待っていることに比べて、明るい希望が二人の胸に湧いて来た。

祥子の注意で、潜航ボタンを押しかえそうとした時、ボートは急にピタリととまって、動かなくなった。