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くうちゅうせいふく
空中征服
賀川 豊彦
線上閱讀賀川 豊彦《空中征服(くうちゅうせいふく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,687 字 · 215 頁
六〇 変身の妙法
「蟹さん、それは私があなたに聞きたいことです。私も、いつもゴロツキにいじめられ通しているものだから、どうしてその脅威から逃れようかと思うておるのです」
蟹は眼を見張って
「ゴロツキって、何だ? 何類の動物だ? 」
「それは寄生虫です」
「そいつを、鋏で殺してやろか? 」
「そら、あなたの暴力論が出た! 」
「ウム、俺はまだ鋏の効能を信ずる! 俺は折々暴力否定論者になって、折々暴力肯定論者になる、俺には議論がない。実行あるのみだ! 」
ぐたぐた言うているうちに、川底にも夜が来た。夜が来ると、蟹は慌てて客のことも何にも構わないで、奥のほうにひっ込んで睡込んでしまった。それで、市長は蟹の穴を抜け出で、川底を一人散歩した。川底の夜は実に神秘である。星が水面に反射して、螢火のように見える。燐光を持った動物が藻の中を行く。
六〇 変身の妙法
挿絵60
彼は静かに、藻草の根の下で瞑想していた。どうやら彼は神経衰弱も癒えたらしい。この元気で再び大阪の空中征服に出かけようと考えた。
で、彼は決心して、水面まで出てみた。水底の滞在は束の間ではあったが、肉体の上によほどの変化があったとみえて、彼はどうしても水面の上に出ることが出来ない。