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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 頁
「そんなこと、聞いて見る迄もあれへん」
「そんなら、どうしょう」
「もうちょっと放って置いたら、―――」
「今度はそんな訳に行けへん、貞之助兄さんも本家に賛成らしいよってに」
幸子は、兎に角云うて見るよって雪子ちゃんも立ち会うて、と云って、その明くる朝二階の妙子の居間を締め切って、三人の姉妹だけで話した。
「なあ、こいさん、長い間でのうても、暫く東京へ行ってくれへん?」
そう云われると妙子は、子供のように首を振って「いやいや」をした。
「うち、本家と一緒に暮すぐらいなら死んだ方が優しや」
「そんなら、どない云うとこう」
「どないなと、云うといて欲しい」
「そうかて、今度は貞之助兄さん迄本家に附いてはるよって、有耶無耶にしとく訳に行かんねんわ」
「そんなら、当分独りでアパート住まいでもするわ」
「こいさん、啓坊の所へは行けへんの?」
「交際はするけど、一緒に住むのんは御免やわ」
「何で」
そう聞くと妙子は黙ってしまったが、結局、誤解されるのが厭だからであると云った。そしてその誤解と云う意味は、自分は啓ちゃんを憐れんでいるに過ぎないのに、愛してでもいるように思われるのは心外であるから、と云うことらしいのであった。