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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 頁
二十七
や思うわ。………」
申し開きの道がないのか、あっても無駄だと観念したのか、もう妙子は何を云われても答えなかった。ただ雪子のくどくどと繰言のように繰り返す言葉ばかりが長々と続いた。雪子の口調は何処まで行っても同じように物静かであったが、妙子の眼にはいつの間にか涙が潸然と浮かんでいた。それでも妙子は、相変らず無表情な顔つきをして、頬を流れる涙を意識していないかの如くであったが、やがて、突然立ち上ると、バタン! と、部屋じゅうが震動するほど荒々しくドーアを締めて廊下へ出て行った。それからもう一度、表の玄関のドーアをバタン! と云わせる音が聞えた。
二十七
この珍しい諍いがあったのは、昼食の時刻の直前で、貞之助も、悦子も知らず、お春も折柄使いに出ていた間のことであった。それに、始めから終りまで孰方も大きな声を立てず、鎖された食堂の中で普通の声で云い合っていたので、台所の女中たちも気が付かなかったくらいであったが、今のバタンと云う響がただごとでなかったので、お秋がびっくりして廊下へ飛んで出た。と、廊下には誰もいないので、食堂のドーアを細目に開けて覗いて見ると、今までいた筈の妙子が見えず、幸子と雪子とが食器棚の抽出からテーブルクロースを出したり、一輪挿を片附けたりしていた。