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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 頁

青空文庫

「お医者さんと云えば、櫛田先生が診てくれてはるのやてな」

と、貞之助は又雪子に聞いた。

「はあ、………けどこの頃は、もう大丈夫や云やはって、さっぱり来てくれはれしません。何せ忙しいお医者さんですよってに、少し病人がようなった思うたら、いつもあれですねんわ」

「雪子ちゃんももう行かんかてええのんやろう」

「はあ、もう構めしません」

と、幸子が云った。

「―――『水戸ちゃん』が附いててくれますし、お春どんが毎日手伝いに行ってますよってに。―――」

「菊五郎いつにする、お父ちゃん」

と、悦子が云った。

「いつでもええ、姉ちゃんが帰って来やはるのん待ってたんや」

「そんなら、今度の土曜日にする?」

「けど、お花見の方が先やな、菊五郎は今月一杯あるさかいに」

「そんなら、お花見、きっとやな、お父ちゃん」

「ふん、ふん、今度の土曜日曜を外したら、もう花はおそいよってにな」

「お母ちゃんも、姉ちゃんも、きっとやな」

「ふん、………」

幸子は、今年だけ妙子が一人欠けるのも淋しいことなので、もし貞之助が許してくれそうな様子なら、なるべく月末まで待って見て、病人の回復の程度に依っては、皆で御室へでも行って見たい気がしたのであったが、さすがにそう迄は云い出し得なかった。