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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
おれは、なにも知らん。それは、どうで、後でわかろう。じゃが、おれがさせたように思われたのは、おれの不徳のいたすところじゃ。どんなことか知らんが、子分がしたことなら、おれが謝る。すまん。いずれ、正式に挨拶はするが、勘弁してくれ」
吉田は、そういって、軽く、頭を下げた。
金五郎は、気抜けがした。瞬時、ぽかんとなった。次第に、赤面する気持になって来て、座にいるのが、苦痛になった。
「失礼いたしました。それだけ、申しあげれば、用はすみましたとです」
吉田が、両手をあげて、
「まあ、玉井君、ちょっと待て。まだ、話が……」
と、とめたが、逃げるように、廊下に出た。すたすたと、入って来たときの落ちついた足どりとはちがった、狼狽の歩調で、客人たちのいぶかる中を、表玄関に出た。
(おれの馬鹿)
軽率が悔まれた。よく事情も糺さず、一途に、思いつめて行動したのだが、若さから来る客気の頼りなさを、したたかに、思い知らされた。
(こんなことでは、駄目じゃ)
そう自省する反面、とりかえしのつかぬことをしてしまったような悔恨と、焦躁とが、はげしく、金五郎を苛んだ。
「そそっかしくて、早合点しました。