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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
虚実
「原田君、外のことなら、あんたのいうことも聞くけんど、こればかりは、いくら、あんたでも駄目じゃ。絶対、勝則は、藤本さんと縁組みさせる。二度と、いいなさんな」
取りつく島が、なかった。
マンは、金五郎の留守中、大庭春吉と藤本家に行ったことを報告したが、やはり、眉をひそめて、息子と芸者とのことを語った。
「まあ、おれに委せちょけ」
金五郎は、不機嫌に、そういって、多く語るを好まないようだった。
(碌なことは、一つもない)
磊落な金五郎も、今度の上京以来、あまりのさんざんさに、さすがに、気を腐らせていた。
財布の盗難と、般若の五郎の奇怪な行動。気がかりなお京の消息。約束の時間をすっぽかして、吉田磯吉を激怒させた。炭積機問題で、三菱本社を四度も訪れたのに、てんで相手にされなかった。そして、帰ってみれば、友田喜造から、風呂の中で聞かされたとおりの、息子の裏切り行為。
或る夜、金五郎は、勝則を誘って、漁に出かけた。これはいつものことで、父が投網を打つ小伝馬船の櫓を、息子が漕ぐのである。
弁財天浜から、船を出した。ここは、嘗て、金五郎が斬られた場所であるが、海岸通りも広くなり、桟橋の様子もすっかり昔と変っている。