輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
涎が、金五郎の着ている、セルの単衣をつたって落ちる。なにをいっているのかわからないが、サクの名が、数度、呼ばれたようであった。
改札口を出て、汽車に乗った。乗客たちが、なにごとかと、この騒動を見物している。
駅長が、ピリピリピリと、笛を吹いて、手をあげた。土地の顔役である大庭春吉の頼みで、永田と金五郎とが乗りこむまで、一分足らず、待ってくれたらしい。
列車が動きだしてから、サクが、あわてて、飛び乗った。
客席はすいていた。永田を二人分の座席に寝かせると、サクがやって来た。仕方なしに、委せた。
「大庭の親分さん、すみません」
サクは、首をちぢめる恰好で、遠慮勝ちに、そういったが、大庭春吉は渋茶をのんだ顔つきで、返事をしなかった。しかし、サクは、他人がどう思おうともかまわぬといった態度で、永田の傍により、これをいたわり、介抱した。もとは、左褄をとっていた女なのに、そんな派手さや、なまめかしさは、ちっともなく、むしろ、地味で、看護婦のようなところがあった。
九州本線と、筑豊線とは、折尾駅で交錯する。若松から、博多、熊本方面に行く者は、ここで、乗り換えるのである。