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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
ヨネは、三十を幾つかすぎているが、いつも、マンをはがゆがらせるほど、おとなしく、従順で、すべてが地味な女だった。いつも、なにかにおびえたように、おどおどしている。
「これは、お姐さん、どうぞ、お入り下さって……」
夫かと思ったマンは、がっかりしたが、なにげない顔で、ヨネを家の中にみちびいた。
ヨネは、家中を見まわしていたが、
「金さんは、まだ、帰らんとな?」
「はい、帰りません」
「おかしいなあ……?」
「親方さんは?」
「うちのも帰らんけんど、うちのは、いつものことじゃけ、不思議なこたない。女をつれて出たら、一週間や十日、鉄砲玉になることは珍しゅうない。金さんが、遠足に行ったきり、五日も帰らんのは、変じゃな」
「お姐さん、仕方ありませんですよ。あきらめています。男商売は交際が大事、女房のさびしいくらいは、我慢します。女房にゴマすって、交際を怠るようでは、世間を大手ふって通られませんけ」
「そら、わかっとるがな、大庭の親分さんも、田中の親分さんも、聯合組の遠足のつれは、もう、二三日前、みんな、帰っとるばい。帰らんのは、うちと、金さんだけじゃ」
「わかりました。玉井は、永田親方さんの守りをしとるとです。