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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
翌朝、洗濯をしているところへ、大庭春吉からの使いが来た。庭番の弥吉という老人である。せかせかした語調で、
「おマンさん、これから、じきに、親分の家へ来てつかあさい。なんか、大事なことで、ぜひ話したいことがあるげなけん」
マンは、すぐに、着物を着換え、弥吉老人とつれだって、家を出た。
大庭家は、牧山の高台にあった。鬱蒼とした森林を背後に、深い孟宗竹の林にかこまれて、こじんまりした白壁の家がある。うるさいほど、雀が鳴いている。
大庭の家に行くと、先に助ボーシンの松川源十が来ていた。これも、使者を立てて呼び寄せられたらしい。
春吉は、納戸の座敷で、二人を待っていた。無言で、茶と、菓子と、煙草とを供してから、突然、怒ったような口調で、
「大事が起ったなあ」
と、口を切った。
「なんごとですか?」
「六ゾロの源」は、びっくりして、菊石面の長い顎をつまんだ。
「東京よ。交番やら、電車やらが、どんどん焼かれよる。日比谷で講和反対の国民大会が開かれたり、大臣の家に押しかけたり、帝都は大騒ぎじゃ。とうとう、戒厳令が布かれたちゅうぞ。当り前のことよ。これだけの戦争をして、こげな屈辱外交をされたんじゃあ、国民が黙って居られるもんか。