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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
の言葉で、二人とも、かるく、マンへ、頭を下げた。
マンも無言で、会釈をした。
「おマンさん、どこへ?」
「原田雲井さんのとこへ、ちょっと、寄ろうと思いまして……」
「ありゃりゃ、たった今、おたくの勝則さんが、原田さんとこ行くちゅうて、出たばかりじゃが。今まで、うちで遊びよったよ」
その言葉に、妹芸者の方の顔が、ぽッと赤らんだ。
「小母さん、失礼します」
姉芸者の方が、立ちあがった。
「まあ、ええじゃないか。玉井のごりょんも猫好き、あんただちも猫好き、そうじゃ、今帰った勝則さんも猫好き、外は春雨が降っちょる。ゆっくり、みんなで、猫の話どもしようや。この碌なこたひとつもない世の中に、猫の話だけしとりゃ、天下泰平じゃよ」
「ええ、でも、お稽古の時間ですから……」
「藤間のお師匠さんとこかへ?」
「はい」
「東京から、いせさんが来とるてなあ?」
「妹が、今度の温習会で、清元の「夕立」を踊るもんですから……」
「さぞ、きれいじゃろなあ。ぜひ、観に行くばい。花輪でもやろか、「猫丸さんに」ちゅうて、ワッハッハッハッ」
「それでは」
つれだって、姉妹は、「猫屋敷」を出た。一匹ずつ、猫を袂で抱き、姉のさす一本の蛇の目傘に入った。