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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
そして、田舎の素人衆を相手に、イカサマをやって、お金を巻きあげていたのです。母は、「蝶々牡丹のお京」などと呼ばれて、命がけの鉄火の世界で、姐御分として通るようになっていたそうですから、腕も、度胸も、男まさりだったのでしょう。その母に、いつも、くっついていたのが、般若の五郎という三ン下、さっきの鳥打帽の男、唐獅子の十郎さんの親父です」
「うちの人と、はじめは、どこで逢うたとか知らん?」
「道後の温泉です」
「いつごろ?」
「そうですね」と、お葉は、両手の花車な指を、一本ずつ折って、「二十七八年も昔、明治でいったら、三十五年の秋になります」
「明治三十五年? まちがいありませんか」
「まちがいありません。母のことは、あたしのこと――いえ、自分のことよりも、はっきり、憶えていますわ」
「すると」マンは、胸がどきついて、「わたしと夫婦になる前、いや、知りあう前に、お京さんとはもう逢うとったわけね」
「そうです。そのとき、はじめて、母は、玉井さんを知ったのです。でも、そのときは、湯ノ町の賭場に、まだ若かった玉井さんが、般若の五郎さんに誘われて、気まぐれに顔を出しなさっただけの話。