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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁

青空文庫

ゴトゴトゴト、という、ウインチの音とともに、金五郎の乗った大籠は、空間に浮いた。ゆらゆらと、高く、つりあげられた。

「デッキに降してくれ」

合図方の仲仕にいった。

大籠は、甲板の上に据えられた。

金五郎が飛び下りると、ふたたび、大籠はまきあげられ、三番ハッチの底深くに、降されて行った。「ダンブロ」の中にいる仲仕が、ワイヤの先を、籠の裏底につけてあるチェーンに引っかけて、石炭を転覆させる。カアーッという石炭の音。そのまま、空籠がつりあげられ、また、舷側の艀に降されて行く。

「高司君は、居らんな?」

両手で、ウインチ番へ合図をしていた巨漢の仲仕は、うさん臭そうに見たが、

「知らん」といった。

金五郎は、船上を見わたした。方々に、いくつもかかげられてある「友田」の提灯が眩しい。そのちらちらする蝋燭の明かりが、自分を嘲笑しているように思われた。

ボーシンの姿を見つけた。

「高司のオヤジは、どこに居るじゃろか?」

「さっき、船長と船橋に上がりよったですがなあ。……ああ、います、います。やっぱり、ブリッジに」

金五郎は、細いタラップを登った。

深夜の洞海湾を、登りながら、左右に眺めた。