輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうしょうじゅうさんねん
蕭々十三年
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《蕭々十三年(しょうしょうじゅうさんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,105 字 · 16 頁
」そこまで彼が云ったとき、
「黙れ半九郎、黙れ」
そう叫びながら忠善は馬からおりた。そして、つかつかとそばへ寄るや、かつてみたことのない忿怒の拳をあげて、半九郎の高頬をはっしと打った、二度、三度、五たび、そして力任せに突き伏せながら「そちは余をそれほどの愚者と思うか」
と声をはげまして叫んだ。
「他人の讒訴によって家来を誤り視るほど余を愚者だと思うか、そちは今ひと筋の奉公と申した、しかしそちの奉公ぶりは自慢のできるものではないぞ、今こそ申し聞かせるが、そちはいつも己れいちにんの奉公、他を凌いでも己れだけ奉公すればよいと考えている、桜田御門の折もそうだ、先にとりついた弥五郎を押しのけても己れが供をしようとする、宿直に当れば定を越えて盥を運び、馬場の世話をする、これらはいかにも出精で、奉公無二にはちがいない、余にもそれはよくわかる、うれしく思う、だが、家来はそちいちにんではないぞ、そちだけが無二の奉公をしてほかの者はどうするのだ、そういう奉公ぶりのできぬ者共はどうしたらよいのだ」
半九郎は息が止るかと思った。高頬を打った拳は骨に徹するものだった、しかしいま忠善の口を衝いて出る言葉は、彼の全身を微塵に砕くかと思われた。