輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうしょうじゅうさんねん
蕭々十三年
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《蕭々十三年(しょうしょうじゅうさんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,105 字 · 16 頁
四
「戦場に於て最も戒むべきを『ぬけ駆けの功名』とする、いちにんぬけ駆けをすれば全軍の統制がみだれるからだ、平時にあってもこれに変りはない、家中全部が同じ心になり互いに協力して奉公すればこそ家も保つが、もしおのおの我執にとらわれ、自分いちにん主人の気に入ろうとつとめるようなれば、やがては寵の争奪となり、五万石の家は闇となってしまう、……そちの奉公ぶりは戦場に於けるぬけ駆けと同様だ、役を解いたのはそこに気付かせるためだったが、おのれの至らぬことは考えもせず、他人の讒訴を思うなどとは見下げはてたやつだ、さような者は余の家臣ではない、いとまを遣わすから何処へでも出てゆけ!」
云いおわると共に、忠善は馬にとび乗り、そのまま城のほうへ、と疾駆し去った。……半九郎は額を地に埋めるほど道の上にぴったり平伏していた、身動きもせず面もあげなかった。そしてやがて、その背がはげしく波をうち、喉をついて嗚咽の声がもれた、両手に霜凍る土を掴み肺腑を絞るような声で彼は泣いた。……川下のかたはるかに遠く、水鳥の魚をあさる羽音がけたたましく聞えた。
四
寛文十年、参覲で江戸にいた監物忠善のもとへ、八月二十五日に岡崎から早馬の使いが来た、城下の西、松葉町から出た火事が矢矧橋を焼き、さらに延焼して城の白山曲輪を炎上させた報告であった。