輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《蜘蛛の夢(くものゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 頁
中には美人が笛を吹いていたなどという者もあって、この怪談はいよいよ詩的になって来たが、どこまで本当だか判らないので、役人はともかくその美人の正体を突き留めようと苦心していた。座頭の李香がいなくなっては芝居を明けることは出来ない。無理に明けたところで観客の来る筈もない。座頭を突然にうしなったこの一座はほとんど離散の悲境に陥ってしまったが、何分にもこの一件が解決しない間は、むやみにここを立去ることも出来ないので、一座の者は代るがわるに呼出されて、役人の訊問を受けていた。実に飛んだ災難だが、どうも仕方がない。」
「一体、その李というのは幾つぐらいで、どんな男なのだね。」と、わたしは一種の探偵的興味に誘われてまた訊いた。
「年は三十四、五で、まだ独身であったそうだ。たとい田舎廻りにもしろ、ともかくも座頭を勤めているのだから、背もすらりとして男振りも悪くない。舞台以外にはどちらかいうと無口の方で、ただ黙って何か考えているという風だったと伝えられている。しかし相当に親切の気のある男で、座員の面倒も見てやる。現に自分の子ともつかず、奉公人ともつかずに連れ歩いている崔英という十五、六歳の少女は、五、六年前に旅先で拾って来たのだそうで、なんでも李が旅興行をして歩いているうち、その頃は今ほどの人気役者ではなかったので、田舎の小さな