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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《蜘蛛の夢(くものゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 頁
まず市五郎の容態を見届けた上で、次第によっては我れわれもその馬狩りを企ててはどうだな。」
人びとは皆もっともと同意した。かれらが里に近づいた頃に、家々の飼馬は一度に狂い嘶いて、かの怪物がまだそこらに徘徊していることを教えたので、人々の気分はさらに緊張した。年の若い茂左衛門の血は沸いた。
三
古河市五郎が運び込まれたのは、かの次郎兵衛後家のお福の家であった。お福の家は母のおもよと貰い娘のおらちという今年十六の小娘と、女ばかりの三人暮らしであったが、そのなかで働き盛りのお福は海馬に踏み殺されて、老人と小娘ばかりが残ったのである。幸いにおもよは六十を越してもまだ壮健であるので、やがてはおらちに相当の婿を迎えることにして、ともかくも一家を保っているのであった。そういう訳であるので、おもよは我が身の不幸に引きくらべて、傷ついた若侍にもいっそう同情したらしく、村の人びとの先に立って親切に彼を介抱した。
そこへ城内の人々がたずねて来た。市五郎の容態はなにぶん軽くないのをみて、一行十一人のうちから四人は彼に附添って帰城することになった。その四人の中に甚七も加えられた。