輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《豊島与志雄童話集(おつきさまのうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 頁

青空文庫

こうなった上は、夜のうちに正覚坊を逃がしてやるより外仕方ないのです。

平助は死ぬような思いで、きっと決心をいたしました。酒をたくさん買っておいて、正覚坊が来るのを待っていました。正覚坊は平気な顔をして、いつもの通りやって来ました。

二人は酒を飲み始めました。しかし平助は気がめいりこんでしまいました。終には涙をぼろぼろ流して、正覚坊の頭を撫でながら、よく訳を言ってきかせました。

「そういう訳だから、もうお前とは別れなければならない。名残惜しいけれど仕方がない。沖に出たら、暴風雨やなんかに気をつけて、身体を大事にするがよい。亀は万年も生きると言ってあるから、お前も長く生きて、時々は俺の事を思い出してくれよ」

正覚坊も、平助の言葉がわかったかのようにうなだれてしまいました。涙をこぼすまいとつとめているように眼を瞬きました。

そして、酒もなくなり、夜明けもまぢかになった頃、平助は正覚坊を連れて海に出ました。西の方の空に三日月が掛かっていて、海の面がぽーと明るくなっていました。

「それじゃこれで別れるから、達者に暮らせよ」

そう言って平助は、正覚坊の頭を撫でながら、沖の方へ放してやりました。