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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁
特に文明が進んで通信交通の途が開けるにしたがい、一団体として結合しうる個体の数が漸次多くなり、野蛮時代に比すれば、団体は漸次大きくなるゆえ、その間に自然淘汰の行なわれることもますます少なくなってしまう。人間の先祖がいまだ猿同様であって、少数の個体が集まって団体をなし、団体との間ではげしく生存競争していたころにはつねに生存に適する団体のみが生き残り、生存に適せぬ団体は滅び失せて、団体間に自然淘汰が行なわれ、その結果として、団体的生活に必要な本能すなわち利他心がある程度まで発達したであろうが、人間らしくなってからは上述の理由で、その進歩がほとんどとまって、かつて猿同様の時代にえただけの本能的利他心がほとんどそのまま今日まで伝わっているようである。否、少しずつ退歩してきたのではないかと思われる。されば公平に比較してみると、今日の人道なるものは猿道とは伯仲の間で、蟻道、蜂道等に比すればはるかに低い程度に位するものと言わねばならぬ。
人間の持って生まれる利他心はかくのごとく微々たるものであるが、個体間の利他心は団体動物の生存には必要なものゆえ、いやしくも団体として生存せんと欲する以上は個体間の利他心を増進せしめるか、あるいはこれと同様の結果を得べき他の方法を求めることをつとめねばならぬ。