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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁
人間は社会的動物であって、社会を離れては一日も満足に生活ができぬことはだれも知るところであるが、蜂、蟻、もしくは苔虫のごとき完結した社会生活を営む動物に比較してみると、その社会性はいたって低度なもので、とうていかれらのごとき純然たる団体生活を営むには適しない。入り込みの座敷で食事をする際に衝立をもって境を造るのを見ても、借家を二軒並べて建てれば、必ずその間に目隠しと称する板塀を造るのを見ても、また新たに邸宅をかまえた人が、その周囲に監獄然たる煉瓦の壁をめぐらして外界との連絡を絶つのを見ても、人間には相互に排斥する本能のいちじるしく存していることが知れるが、かかる根性が生まれながらに存する間は、財産を全く共有にするごときことはすこぶるおぼつかない。
次に私有財産は何代目まで譲られるかというと、この点については人間と他の動物との間にはいちじるしい相違がある。私有財産を子に譲る動物のあることは前にも述べたが、かかる動物では財産はただ子の代まで伝わるだけで、決してその先の孫や曾孫の代までにはおよばぬ。しかして子に伝わるというても、単に子がひととおり成長して生存競争場裡に打って出られるようになるまでの間、これを養うの用をなすのみで、決して子が一生涯その恩沢をこうむって安逸に暮らすというごときことはない。