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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

三 方法

天国に入るには子供の心に立ち帰らねばならぬとキリストは説いたが、哲学にはいるにも、いったんまず哲学などを考えぬ子供の心に立ち帰りさらにあらためて出なおす必要があろう。八幡の藪知らずで路に迷うて行きづまった場合には後へもどって別の道を試みるよりほかにいたし方がないごとく、哲学者も一度入り口までもどって、別の出発点から新たに研究を始めるのが得策ではなかろうか。われらの哲学は子供の心を出発点とし、それより上下、左右、前後に考えをひろげてゆくことを主張するだけで、別に確固不抜の基礎を求めぬゆえ、土台を持たぬという点からは、あるいは風船哲学と名づけてもよろしいが、考えて見れば、地球自身も一種の風船に過ぎぬから、従来の橋杭哲学にくらべても何も遠慮しておるにおよばぬと思う。

三 方法

さて、出発点だけはまず子供の心と定めたが、それより少しずつ半径をのばしてだんだん周囲のほうに考えをひろげてゆくには、いかなる方法によるかというに、われらの考えによると、ここにもっとも注意せねばならぬのは言葉の羈絆から脱するということである。今の人間は言葉を用いてでなければ物が考えられぬゆえ、言葉の羈絆から脱するというても実は程度の問題であって、絶対に脱することはもとより望まれぬ。