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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

と言うたところが、側にいた乙法学博士が「いや、人は借金の利子を払う動物なり」と言うたので一座哄笑したという逸話が載せてあったが、実に利子を払うたり取ったりする動物は、人間以外には一種もない。したがって他の動物には金貸し、地主、資本家などのごとき、懐手をしながら贅沢に暮らす階級は決して見いだすことはできぬ。人間社会では一度ある手段によって、一定額の財産を造っておきさえすれば、自分の一代はもとより未来永劫幾百代の末までも働かずに食うてゆくことができて、なおその上に財産が追々殖えるということを、他の動物らが聞き知ったならば、いかに不可思議に感ずるであろうか。ある数からある数を減ずれば、その残りは原の額よりは少ないという数学上の明白な原理に反して、遣うても遣うても少しも減らぬのみか、なおその上に増加してゆくとは、実に天地間にこれほど不思議なことはないであろう。

さて以上述べたとおり、人間と他の動物との財産制度上の相違の点は主として、子孫が親の遺産の恩沢に浴する程度の相違と、物を貸して利子を取る制度の有無との二つである。しかももし利子を取るという制度がなかったならば、いかに刻苦勉励しても今日の富豪の有するごとき莫大の財産を一代に造ることはとうてい不可能で、たとい巨万の財産を積み得たとしても、子孫が働かずに食い減らせ