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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁
七 宇宙
単に論法だけをくらべれば、人間が死んでも霊魂が残るというのは、蝋燭が消えても見えぬ光が残るというのと少しも違うたことはない。燃えている蝋燭とか、消えた蝋燭とかいうのは、ただ蝋燭の存在状態の差別をいい現わすための言葉であるゆえ、甲から乙を引けば差額が出るごとくに勘定するのがよくよくまちがいである。これと同じく生きた人間とか、死んだ人間とかいうのも、単に人体の存在状態の差別を言い現わす言葉に過ぎぬゆえ、どこまでもそのつもりで使用しなければならぬ。一杯目には人、酒をのみ、二杯目には酒、酒をのみ、三杯目には酒、人をのむというが、言葉もそのとおりで、人が手綱を持って制御している間はよろしいが、ややもすれば言葉のために引きずられ、ついには全く言葉の奴隷となって、何ごとも言葉の命ずるままに考え信ずるにいたりやすい。身体から離れた霊魂の存在を信ずるのはかかる成り行きの結果である。
七 宇宙
ある哲学書に次のようなたとえ話しがあった。フランス語の少しも分からぬ支那人が二人パリに来て、芝居を見物した。その中の一人はしきりに舞台や楽屋の仕掛けを見て歩き、幕はいかにして上げるか、光はどこから照らすか、浪は何で動かすか、風の音は何で鳴らすかというごときことをつまびらかに知ろうとつとめた。