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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

それゆえ、二階に登ることを帰らぬ旅に立ったとも言う。昔のエジプト人は、霊魂はふたたび二階から降りてくるものと信じたゆえ、そのさい自分の身体がなくなっては困るであろうとの心配からきわめて念入りに死骸を保存した。これがすなわち数千年後の今日まで残っているミイラである。宴会の帰りに、外套や靴が見えなくても大いにまごつくことを思えば、自分の合い札の身体が見つからぬときの霊魂の迷惑はまったく察せられる。とにかく、身体から離れた霊魂なるものがありと信ずる以上は、宇宙を二重に考えることを避けることはできぬ。

あの世とか、未来とか、天国とか、霊の世界とか名はさまざまに違うても、見えぬ宇宙は要するに見える宇宙の二階である。しこうしておもしろいことには、二階座敷はいつも下の座敷によく似ている。人は想像によってすでに知っていることをいろいろに組み合わせることはできても、全く別の物は考え出せぬものとみえて、天国はどこの国でも、下界にあるだけの物で造り、ただそれが理想化せられてある。ある農夫は、もしもオレが王様になったら、肥桶の箍を黄金で造ると言うたそうであるが、天国もそのとおりで、エスキモーの天国には錦のごときアザラシが泳いでい、インドの天国には車輪のような蓮花が咲いている。