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しゅうぶん
醜聞
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《醜聞(しゅうぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 頁
両家が縁続きであって、功兵衛の亡父と矢沢とがまた誹諧なかまだったということから、二人の縁談がまとまったのである。さくらはわがままな女であった。人によってはあまったれの可愛い女だというかもしれない、人によってはそう思うだろう、ということは功兵衛にも推察することができた。あらゆる好みが人によってみな違う、それはそのとおりだ、妻の色香におぼれる者もあるし、家政を任せる便宜な存在とみる者、単に習慣のためと考える者もある。どれが正しく人間らしいかはわからない、わからないといえばなにもかもわからない。罵り憎みあいながら一生ともにくらす夫婦もあり、まるっきり反対な性分だったのに、やがてだらしのないほど仲がよくなり、むつまじく折り合ってゆく夫婦もある。その一つ一つにはまた、幾百千とも知れない変化があるだろうし、それらは人間のちから以上の、なにかの力に支配されているのではないか。
――さくらの出奔は、功刀家にとって殆んど致命的な出来事であった。
嫁して来て二年めの秋、妻のさくらはとつぜん出奔した。その年の初夏に、功兵衛の両親が死んでいた。酒に弱い父が卒中、母はその年この城下に流行した、激しい痢病に勝てなかったのだ。