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しゅうぶん

醜聞

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《醜聞(しゅうぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 頁

青空文庫

二

病気でもあるのか寒さのためか、差出された手はひどくふるえてい、上半身を跼めた躯も不安定に揺れていた。これでもう五たびか六たび、功兵衛が通りかかると袖乞いをするのであった。

「くれてやれ幾馬」と功兵衛が云った、「おまえ小銭を持っているだろう」

「持ってはおりますが、番たびではくせになります」

「おまえがそう思うだけだ」と功兵衛は云った、「くれてやれ、その銭はあとで返す」

宇野が銭入れを取り出すのを見て、功兵衛はあるきだした。

二

越川斎宮の毒舌にはよく譬え話が出る、いつだったか、由良正七郎という若者が、たび重なる乱暴のあげく原小一郎を斬った。小一郎も強情者で、由良の乱暴を咎めたのが原因となり、由良はのぼせあがって刀を抜き、小一郎の腕に斬りつけた。さいわいに傷は浅く、十針ほど縫っただけで済んだが、由良の乱暴に手をやいていた人たちが、刃傷沙汰として支配役へ訴え出た。ここでは毎月一回、城中で重職会合がおこなわれるが、その会合の席にこの件が提出され、由良正七郎は食禄召上げ、領内から追放する、という意見におちつきそうになった。すると越川斎宮が反対した。

――あいつはしようのないばか者だ、と斎宮が云った。