輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
線上閱讀林 不忘《釘抜藤吉捕物覚書(くぎぬきとうきちとりものおぼえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,251 字 · 39 頁
ことに、不思議なのは、廊下へはいって来ると一拍子に、出方の藤吉の見たという、障子に躍って消えた影である――。
人はいないのに、高座の上り口にある蝋燭の灯りを受けて、その影法師だけが、障子にうつっていたという。
たしかに、はっきり見たと出方の藤吉は主張するのだが、それは、普通人の大きさの人かげで、厚い着物を着て、袴をはいたように、ふくれ返って見えた。大きな髷に結って、傴僂のようだったとも言っている。何か糸のようなものを持っていたと、男衆藤吉はいうのだが、すべては、はっと思った一瞬間の印象で、閃めくように障子をかすめて消えたのだから、もとより、こまかに話すとなると、至極漠然たるもので、夢の想い出の又聞きのようなことになるのだった。
ぱちんと指を鳴らす――その間の出来事だったに相違ない。
が、それにしても、あんなに膂力すぐれた大石武右衛門が、こんなに簡単に殺されるなどということが、あり得るだろうか。頸部を巻いて絞めたのは、どうも三味線の糸を五、六本かためて撚ったようなものらしいと、藤吉は、局所の皮膚の捻れ工合いなどから判断したのだが、それならいっそう、そんな糸で首を絞めつけたぐらいで、あの武右衛門が即死しようとは、どうしても呑み込めないのである。