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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
」
それは、はぎれのよい男の声でした。またしても、わけのわからないことがおこりました。
女こじきが、男の声でしゃべっているのです。
「ハハハ……、わからないかね。ほら、これを見たまえ。」
女こじきは、そういいながら、手をあげて、頭の毛をつかみ、グッと上にもちあげました。すると、きたないかみの毛が、スポッとぬけて、その下から男の頭があらわれたではありませんか。女のかみの毛は、カツラだったのです。
下からあらわれたのは、モジャモジャの男の頭でした。顔はススでもぬったようにまっ黒でしたが、よく見ると、どこか見おぼえのある顔でした。
「あっ、それじゃ、あなたは……。」
「明智小五郎です。おわかりになりましたか。」
ああ、そのきたない女こじきは、名探偵明智の変装姿だったのです。高橋さんも刑事たちも、あっけにとられて、しばらくは口をきくこともできませんでした。
「ぼくは、ここへ刑事諸君をはりこませたら、かえって、あぶないと思ったのです。怪人団は、もうひとつ、おくの手を考えるかもしれないとおもったのです。それで、だれにもしらさず、女こじきにばけて夕方から、この原っぱを見はっていました。