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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

それからすこしはなれた、ふかい草むらの中に、ひとりのこじき少年が、はらばいになって、じっと自動車の方を見つめていました。

このこじき少年は、いうまでもなく、明智小五郎の助手の小林君です。どこまでも、怪人団の自動車を尾行して、その行くさきをつきとめるのが小林少年の任務でした。しかし、尾行するといっても、こちらは自動車をもっていないのです。あいての自動車のどこかへ、もぐりこんで、かくれているほかありません。

小林君は、それには、なれていました。いつかも、怪人の自動車の後部のトランク(にもつを入れるところ)へ身をひそめて、賢二君をとりもどしたことがあります。こんやも、あの手をもちいるつもりでした。

小林君は、そっと怪人の自動車のうしろへ、はいよりました。まっ暗ですし、草がボウボウとはえているのですから、あいてに気づかれる心配はありません。

車体にたどりついて、後部のトランクのふたを持ちあげて、さぐってみますと、中には怪人団のカバンなどが、はいっているばかりで、じゅうぶん、すきまがあります。小林君はリスのような、すばやさで、その自動車のにもつ入れの中へ、すべりこみました。