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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九) 全十冊(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,029 字 · 82 頁
少し腑に落ちないことがありますから、いちおう調べさして下さい。万一人手にかかって死んだものなら、そのままにしてしまっては、仏様も浮ばれないことでしょう」
そう言われると、まさにそのとおりです。本当に倅の竜吉が人手にかかって殺されたものなら――と、万一の疑いが事実らしくなると、父親の胸にはやはり、復讐の欲望が火と燃えないわけには行きません。
平次はいちおう家の外観を見て廻りました。せいぜい四十五六坪の家ですが、冬のことで、窓も雨戸も閉めているところが多く、そのうえ冬囲いが家の北から西へ伸びて、家の後ろに走る土手に連なり、その外は千駄木の方へ木立になって、白昼でも、ずいぶん人眼につかぬように、町の方から近づかれないことはありません。
腹違いの姉のお専は、二十六七の派手な女でした。こんな田園的な風物の中では、化粧の濃さが気になります。芸好みの道楽者の福之助を、好きで配偶にしたというだけあって、この女にはなんとなく、気の知れない仇っぽさと、浮気らしいところの匂うのは、はじめて応対する平次にまで、焦立たしい媚を感じさせるのでした。
身扮は赤いもののチラつく、思いのほかの派手さで、青ずんだ袷が、ひどく特色的です。