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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九) 全十冊

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九) 全十冊(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,029 字 · 82 頁

青空文庫

「あのとき私は町まで買物に行って、日本橋のお店で、お昼を頂いて帰りました。坊っちゃんが死んでいるとは夢にも知らず――」

などと年齢にしてはよく舌が動きます。

立花家の甥の富坂松次郎はどん栗に袴をはかせたような少年で、十六とはどうしても見えないほど発育が悪く、ニキビの盛大なのと、口の角のあたりを白くしているのが、妙にこの男を愚鈍らしく見せます。

「私は家にいたよ。霞網を借りに百姓家へ行くつもりで出かけて来ると、この家が騒ぎだ。畑の中の小道を此方へ小戻りして驚いたよ。竜吉さんが死んでいるというから――」

どこか連絡の悪い修辞法が、この少年の賢こくないところを説明しているようです。

二人の少年から、たいしたことを聴き出せないとわかると、平次と八五郎は連れ立って、畑の中の道を、東の方に見える立花家へ辿りました。

葱の青さ、抜き捨てた大根の白さなど、ところどころに色彩の変化はありますが、だいたいは霜解と空っ風に荒された畑地で、歩くと不気味な足跡が一つ一つ印されるような土地です。

「ところで親分」

「なんだえ、八」

八五郎はフト思いついたらしく平次に尋ねました。

「竜吉という倅は、本当に人に殺されたんでしょうか。