輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

個人としての朋友も多くは求めなかった。訪問はする暇を有たなかった。ただ坂井だけは取除であった。折々は用もないのにこっちからわざわざ出掛けて行って、時を潰して来る事さえあった。その癖坂井は世の中でもっとも社交的の人であった。この社交的な坂井と、孤独な宗助が二人寄って話ができるのは、御米にさえ妙に見える現象であった。坂井は、

「あっちへ行きましょう」と云って、茶の間を通り越して、廊下伝いに小さな書斎へ入った。そこには棕梠の筆で書いたような、大きな硬い字が五字ばかり床の間にかかっていた。棚の上に見事な白い牡丹が活けてあった。そのほか机でも蒲団でもことごとく綺麗であった。坂井は始め暗い入口に立って、

「さあどうぞ」と云いながら、どこかぴちりと捩って、電気灯を点けた。それから、

「ちょっと待ちたまえ」と云って、燐寸で瓦斯煖炉を焚いた。瓦斯煖炉は室に比例したごく小さいものであった。坂井はしかる後蒲団を薦めた。

「これが僕の洞窟で、面倒になるとここへ避難するんです」

宗助も厚い綿の上で、一種の静かさを感じた。瓦斯の燃える音が微かにしてしだいに背中からほかほか煖まって来た。