輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

二十二

宜道は自ら次の間に立って、茶を入れて出た。

「東京はまだ寒いでしょう」と老師が云った。「少しでも手がかりができてからだと、帰ったあとも楽だけれども。惜しい事で」

宗助は老師のこの挨拶に対して、丁寧に礼を述べて、また十日前に潜った山門を出た。甍を圧する杉の色が、冬を封じて黒く彼の後に聳えた。

二十二

家の敷居を跨いだ宗助は、己れにさえ憫然な姿を描いた。彼は過去十日間毎朝頭を冷水で濡らしたなり、いまだかつて櫛の歯を通した事がなかった。髭は固より剃る暇を有たなかった。三度とも宜道の好意で白米の炊いだのを食べたには食べたが、副食物と云っては、菜の煮たのか、大根の煮たのぐらいなものであった。彼の顔は自から蒼かった。出る前よりも多少面窶れていた。その上彼は一窓庵で考えつづけに考えた習慣がまだ全く抜け切らなかった。どこかに卵を抱く牝鶏のような心持が残って、頭が平生の通り自由に働らかなかった。その癖一方では坂井の事が気にかかった。坂井と云うよりも、坂井のいわゆる冒険者として宗助の耳に響いたその弟と、その弟の友達として彼の胸を騒がした安井の消息が気にかかった。けれども彼は自身に家主の宅へ出向いて、それを聞き糺す勇気を有たなかった。