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まほうにんぎょう

魔法人形/サーカスの怪人

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《魔法人形/サーカスの怪人(まほうにんぎょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 148,224 字 · 297 頁

青空文庫

むこうのほうから、つめたい風が吹いてくるような感じで、からだが寒くなってきたのです。

しかし、夕ぐれのことですから、その人の顔は、まだ、はっきり見えません。ふたりは、そのまま歩いていきました。紳士と二少年のあいだは、だんだん近づいてきます。そして、十メートルほど近よったとき、やっと、紳士の恐ろしい顔が見えたのです。

ノロちゃんが、「アッ!」と、小さい叫び声をたてました。井上君は、それをとめようとして、グッと、ノロちゃんの腕をつかみました。

ああ、恐ろしい夢でも見ているのではないでしょうか。その紳士の顔は、生きた人間ではなかったのです。まっ黒な目。はじめは黒めがねをかけているのかと思いましたが、そうではなかったのです。目はまっ黒な二つの穴だったのです。鼻も三角の穴です。そして、くちびるはなくて、長い上下の歯が、ニュッとむき出しになっているのです。それは骸骨の顔でした。骸骨が洋服をきて、ソフトをかぶり、ステッキをついて、歩いてきたのです。

二少年は、夕ぐれどきのお化けに出あったのでしょうか。あれを見てはいけないと思いました。あの顔を見ていると、恐ろしいことがおこるような気がしました。