輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まと

魔都

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《魔都(まと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 頁

青空文庫

その方がよっぽど御馳走と言うものです」

などと、柄にもなくお世辞のような寝言のような事をいうと、鶴子は小娘のように身体をくねくねさせ、

「まア嬉しい、あたしお世辞をいってくれるひと大好きよ。お礼にあたしが喰べさしてあげるわねえ、あなたとあたしはもう仲よしよ」

といって椅子を引擦って来ると、加十にピッタリと寄り添うようにして坐り、銀の小さなフォークで生蠣殻の剥身を突刺し滴の垂れるやつを、

「さア」

と加十の口元に差しつける。加十も止むを得ず野太い口を開いて麩呑みに呑み込むと、鶴子はフォークを加十の手に握らせて、

「こんどはあたしに喰べさせてくれるのよ、ねえ、あのフォア・グラをちょうだい」

といって加十の鼻の先でアヽンと口を開ける。歯並びのいい、例えば小粒の真珠のような歯の間から、ヒクヒクと動く小さな舌の先が見える。酔眼朦朧たる加十の眼にもこれは実以て美事な眺めなのだ。

鶴子は加十にシャンパン酒を注がせては勢い猛に煽っていたが、ほどなくしどけない風になり、急に椅子から飛上ると加十の膝の上に馬乗りになって、形容を越えたなまめかしい眼差しで竜太郎の方を見返りながら、