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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

「どうも、吾々の吉運到来は夢らしいぞ。夢はいいが、さめた後の悪さが思いやられる」

と、何かに、おびえていうのである。

「なぜ?」

「どうも、弦之丞とお綱は、まだ死んではおるまいと思われる。もし、ふたたびかれが姿をあらわすことでもあった日には、殿を欺したことになる」

「ばかな!」と周馬は一蹴して、

「あの怒濤の中へおどりこんで、助かるわけがあるものか」

お十夜も同意した。

「一角、そりゃ、余りお前が考え過ぎるよ」と。

そして、もう一言、冷笑をまぜてつけ加えた。

「運が向くと人間は臆病になる。金持になると病気ばかり怖くなる、この夢がさめるな、この夢がさめるなってやつよ。それと同じだ。ばかばかしい。夢といってしまえば、棺桶の底へあぐらを組むまでは、みんな夢じゃないか」

「くだらんことをしゃべってくれるな、拙者は心の底から心配しているのだ。恩賞の帰参のと、吉運に酔っている貴公たちを見るといっそう後が思いやられる。決して、根柢もなく取越し苦労をしているのではない」

「どうして急にそんなことを考えだしたのか。おれたちにはおかしくってしようがない」

「実をいうと、拙者も、今しがたまでは得意だった。