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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

丈太郎の体は雑木の茂っている所まで、一気に、俵のようにころげて行った。

「寄りつくものは一太刀に薙ぐぞ」

徐々と力の練りだされてきた弦之丞は、丈太郎を斬り落した弾力で、さらに上へ踏み登った。

お綱はその後ろを風のようにすりぬけて、洞窟の中へ夢中で走りこんだ。

孫兵衛がああは言ったが、なお半信半疑であった。殺したぞといったことは、むしろ父がまだ生きている実証のようにさえ思えて、冥府のような冷たい闇へ飛びこむと一緒に、

「お父様――ッ」

と、叫ばんとした。

けれど、なぜか、幾百里をあえぎあえぎきて、この山牢まで達してみると、父娘名乗りをしないうちに、父とは呼びかけ難い気がして、のどをつまらせながら、

「――江戸からお綱がまいりました。甲賀世阿弥様! 甲賀世阿弥様!」

と、固い言葉で、続けざまに呼び立てて入ったが、深い闇は冷々となんの答えも与えない。奥のほうからガアーンと返ってくるのは、おのれの口真似をする穴山彦。

ふいに、お綱の足のくるぶしをつかんだ手がある。

洞窟の一番奥であった。

はッと、よろめいた弾みに、ヌラリとした岩苔に手を辷らせて、

「よ、世阿弥様※(感嘆符疑問符、1-8-78)」