輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

一抹の浪しぶきが、横に砕けて舟影をくるんだかと思うと、どうなったか、その最後は分らずに、周馬の舟は征矢のように流されていった。

「いけねえッ」

と、後の一艘は絶叫している。

「巻かれこんだぞ! 悪い渦に!」

「鈎をッ」

「アっ、岩だ、底を噛まれた」

「なに、大丈夫だ、鈎を早くッ」

「おっと!」

舟の中に、クルクル舞いしていた男ふたり、ひとりがつかんだ鈎綱を、ヤッと一ツの岩へ投げかけた。

幾たびかはずし、幾たびか死神の棲む渦の中心へ誘われようとして、ようようゆるい瀬へのがれ出し、岬の岸へガリガリッと手繰り着けると、

「ウム、しめた!」

と、ひとりはすばやく磯へ飛びあがって、

「今の野郎といい、さっきの、浦一帯の提灯といい、どうもこの辺がちょっと臭い。とにかくおれは様子を見てくるから、後の舟をしっかり頼むぜ」

と、登るたよりもなさそうな絶壁の岩脈をズウと見上げた。

そこを見上げると、周馬が断崖へ垂らしておいた一本の綱が目にとまる。

「おお、今の奴の置き捨てだな」

男はグンと引っぱって試した上に、それへつかまったが、また舟の者を顧みて、

「大勘――」と呼んだ。

「おう」

「この上へあがると、たしか、阿波守の潮観のお茶屋があるはずだ」