輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁

青空文庫

納戸の襖はもとより、古くなった畳にさえすり切れたところに渋紙が貼ってある。低い天床、雨のしみた跡のある剥げた壁……彼は眉をしかめ、溜息をついて、そうして写生帖をふところにつっこんで、惘然と土間へおりる。

「どうするのさ、どこへゆくのさ、もうおつけが出来ようってのにどうするんだよ、でかけるならごはんを食べてったらいいじゃないか」

「おれならいい、食べたくないんだ」

「食べたくないって食べないでどうするのさ、また誰かと朝っぱらから飲むつもりかい、ああそれならそれでいいよ、幾らでものんだくれるがいいさ、あたしゃ知らないからさっさとおゆきよ、だけど仕事のことはどうするんだい、阿波屋の旦那が来たらなんて云うのさ、いつもいつもまだ出来ませんじゃ、あたしが挨拶に困るじゃないか、なんて御返辞をすればいいのさ、こんどはなんとかはっきりしたことを云わなきゃ、幾らなんだって――」

又五郎は蒼い沈んだ顔つきで、黙って路地を往来へと出ていった。

晩秋の曇った朝で、鼠色の雲が重たげに層をなして、空いちめんを隈なく掩っていた。風は少しもないが、気温はひどく下り、まるで雪でも降りそうに寒かった。