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おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁

青空文庫

十月に指物師と経師屋がはいった。それからなお十五日あまり日が経ち、霜月はじめに加平が来ると、初めて屏風が仕上ったと云った。

又五郎は九月ごろよりさらに痩せ、精根をつかいはたしたというようすだったが、顔つきも冴え、眼も強い光を帯びて、ひと仕事しあげたという充実した感動が、全身に脈を搏つかのようにみえた。

「勝手なお願いですが、松屋と井上、島田の三人を呼んで頂きたい、かれらが来てから、あの三人が来てから貴方にも見て頂きたいのです、それまでごらんになるのをお待ち下さい」

「よろしいとも、早速その手配をしましょう」

加平はとぶようにして帰っていった。

なか一日おいて、まず加平が来、島田が来、少しおくれて貞造、井上の二人が来た。久しぶりに顔がそろって、茶を啜りながら暫く話をした。島田と井上孝兵衛は妻をもち、松屋は絵草紙屋を始めたという、相変らず人の好い笑い方で、

「なにしろおふくろに死なれちゃいましてね、金蔓が切れちまったもんだから、商売するんならと、親父が云うのを幸いにね」

そんなことを云って頭を掻いた。

ひとおちつきしてから、又五郎は立ってみんなを奥へ案内した。