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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
九の三
「さぶがどうかしたのか」
「やっぱり知らさなかったのね」おのぶはたたんだ手拭で額の汗を拭きながら云った、「あのひと小舟町から暇を出されたのよ」
栄二は疑わしげな眼をした、「だってあいつは、病気で葛西へ帰ってるんだろう」
「それが六月限りで暇を出されたんですって、おまけに手紙一本でよ」
「誰から聞いた」
「さぶちゃんからじかによ」とおのぶは自分のことのようにけしきばんで云った、「――そんな手紙を貰ったので、さぶちゃんはすぐに小舟町へいったんですって、その帰りにすみよしへ寄ったの」
「脚気のうえに腹までわるくしていたって聞いたがな」
「そうよ、ひどい恰好」おのぶは眉をしかめた、「顔も手も痩せっこけちゃって、足だけがこんなにむくんでるの、おじいさんみたいに杖をついて、一つ拾いにそろそろあるく恰好ったら、ほんとに見られたもんじゃなかったわ」
ひどい下痢が十日も続いたあとで、まだ寝ていたのだが出て来た。小舟町へいったが親方には会えず、兄弟子の五郎が応対に出た。仕事がひまになったので人べらしをする、おまえの病気は治りにくいようだし、先の見込みもあまりないから、この辺で身をひいてもらうことになった。